水道水の水質基準について
現在の水道水質基準
2004年4月に水質基準が改正されました。かつての水道水質基準では、細菌感染を防ぎ、嫌な味や臭気、着色を防ぐことが大きな目的でした。それに対し、いまの水質基準は、発ガンの疑いのある物質を含む一般有機化合物、消毒副成物、農薬なども規制の対象とし、はじめて人間の健康という視点での規制が前面に登場してきたのです。
わが国では1970年代に、水銀などを含む約10の物質を有害物質と決めて以来、新しい規制物質を増やしてきませんでした。新しい化学物質の規制は、大きく水環境の規制に発展していき、その意義はたいへん大きなものといえます。
水道水質基準では、健康に関する項目、水道水の性状に関連する項目、快適水質項目、監視項目の計85項目が決められました。そして、さらに1998年11月には監視項目6項目が追加され、1999年12月に1項目、2000年9月に2項目増え、現在は94項目となっています。
2003年4月には、鉛に関する水質基準がさらにきびしくなり、これまでの0.05mg/L(リットル)から0.01mg/Lと、WHO並みの規制になりました。これまで鉛管による給配水が行われていましたが、これらから溶出してくるのではないかという懸念から、取り替え工事が進められています。
  そして、2004年4月からは、こうした状況と社会的変化に対応して改定されました。
殺菌に使われている塩素
水道水には、細菌汚染を防ぐため、殺菌力が強く、人体に害が少なく、しかも残留効果の高い消毒剤として塩素が用いられています。この塩素は蛇口の段階で1リットル当たり0.1mg以上残っていなければならない(遊離残留塩素)、またクロラミンの形となっている場合(結合残留塩素)は、0.4mg以上残っていなければならないと定められています。
  しかし、一方では、原水に残っていた有機物やアンモニアなどと塩素が反応すると、いわゆるカルキ臭となって強く感じられる、といわれています。その意味で、衛生性とおいしさのバランスが必要になってきます。


水質基準項目及び基準値(施行日:平成16年4月1日)
項目名 基準値
一般細菌 1mlの検水で形成される集落数が100以下であること。
大腸菌(*) 検出されないこと。
鉛及びその化合物 鉛の量に関して、0.01mg/L以下であること。
1,4-ジオキサン(*) 0.05mg/L以下であること。
クロロ酢酸(*) 0.02mg/L以下であること。
ジクロロ酢酸(*) 0.04mg/L以下であること。
総トリハロメタン 0.1mg/L以下であること。
トリクロロ酢酸(*) 0.2mg/L以下であること。
ホルムアルデヒド(*) 0.08mg/L以下であること。
アルミニウム(*)及びその化合物 アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下であること。
テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下であること。
トリクロロエチレン 0.03mg/L以下であること。
臭素酸(*) 0.01mg/L以下であること。
亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して、1.0mg/L以下であること。
ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して、200mg/L以下であること。
マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.05mg/L以下であること。
蒸発残留物 500mg/L以下であること。
ホウ素(*)及びその化合物 ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下であること。
(4S,4aS,8aR)-オクタヒドロ-4,8a-ジメチルナフタレン-4a(2H)-オール(別名ジェオスミン*) 0.00001mg/L以下であること。
1,2,7,7-テトラメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2-オール(別名2-メチルイソボルネオール*) 0.00001mg/L以下であること。
非イオン界面活性剤(*) 0.02mg/L以下であること。
蒸発残留物 500mg/L以下であること。
有機物(全有機炭素(TOC)*の量) 5mg/L以下であること。
フェノール類 フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下であること。
pH値 5.8以上8.6以下であること。
異常でないこと。
臭気 異常でないこと。
色度 5度以下であること。
濁度 2度以下であること。
(2004年4月現在)
●この表の水質基準項目はおもなものをあげています。
*は、このとき新たに水質基準となった13項目です。