おいしい水ってどんな水?
水道水源の汚染が進んだ昭和40年代、異臭味水やカルキ臭の強い水などにより、水道水がまずくなったと言われはじめたなかで、浄水器が登場しました。昭和50年代には、安全でおいしい水とは何かをテーマに水道水質基準が検討され、厚生省(現厚生労働省)は「おいしい水研究会」を発足させました。
 おいしい水とは、
「ミネラル、硬度、炭酸ガス、酸素を適度に備えた冷たい水」

と言われています。不純物をまったく含まない水(純粋な水)は、飲んでも決しておいしい水とは言えません。適当な物質が適度に溶けていることがおいしい水の要件なのです。
ミネラル カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄など水中に溶けている鉱物質の総量で、水の味にコクとまろやかさを出します。1リットル中に30〜200mgを含んでいる水がよいとされます。
硬度 カルシウム、マグネシウムの量によって計られます。これらの成分が多いと硬水とよばれ味がきつく、低いと軟水とよばれ、コクのない水となります。1リットル中に50mg前後を含んでいるのが好まれます。
炭酸ガス
(遊離炭酸)
湧き水や地下水などに多く含まれ、水に新鮮でさわやかな味を与えます。
酸素 水に清涼感を与えます。酸素がまったくない水は、味が悪くなります。
水温 おいしい水には水温も大切な要素となります。水温は10〜15度が飲むのに快適な温度と言われます。

水質項目 おいしい水の要件 内 容 ・ 特 徴
蒸発残留物 30〜200mg/リットル 水を沸騰させても蒸発しないようなミネラルや鉄、マンガンなどを指し、1リットル中30〜200mg含まれているのが理想とされる。量が多いと苦味や渋味が増し、適度に含まれると、コクのあるまろやかな味がする。
カルシウム・マグネシウム(硬度) 10〜100mg/リットル ミネラルのなかで量的に多いカルシウム、マグネシウムの含有量を示し、硬度の低い水はくせがなく、高いと好き嫌いが出る。カルシウムに比べてマグネシウムの多い水は苦味を増す。
遊離炭酸 3〜30mg/リットル 水にさわやかな味を与えるが、多いと刺激が強くなる。
過マンガン酸カリウム消費量 3mg/リットル以下 有機物量を示し、多いと渋味をつけ、多量に含むと塩素の消費量に影響して水の味を損なう。
臭気度 3以下 水源の状況により、さまざまな臭いがつくと不快な味がする。異臭味を感じない水準。
残留塩素 0.4mg/リットル以下 水にカルキ臭を与え、濃度が高いと水の味をまずくする。塩素臭が気にならない濃度。
水温 最高20℃以下 夏に水温が高くなると、あまりおいしいとは感じられない。冷やすことによりおいしく飲める。
(厚生労働省おいしい水研究会による「おいしい水の要件」より)
※過マンガン酸カリウム、臭気度、残留塩素などが多いと、水がまずくなります。