浄水の原理
RO浄水器は、日本語では逆浸透膜浄水器。その浄水の原理はその名がしめす通り、液体の「浸透」という現象を利用した浄水器です。
動物や植物の細胞膜には、ごく小さな穴が無数開いており、個々の細胞はこれらの穴を通して、外界と養分や水分のやり取りを行っています。この細胞膜のような形状をした膜を「半透膜」といいます。
半透膜で仕切られた容器に純水と不純水を入れると、純水側から不純水側に水分子が移動します。これは、濃度の低い側から高い側へ移動して、濃度を均一に保とうとする性質によるもので、これを「浸透現象」といいます。また、このとき液体が移動しようとする力(圧力)のことを「浸透圧」といいます。
・純粋な水と不純物を含んだ水を半透膜で左右に仕切ると、なるべく両者の濃度を等しくしようとする液体の性質によって、水の分子が左から右へと移動していきます。
・すると、右側の水の水位が押し上げられていきます。自然に生まれるこの圧力のことを浸透圧といいます。
・この液体のもつ性質を利用し、逆に、不純物を含んだ水のほうに人工的に圧力をかけてやると、不純物を含んだ水の中から、水の分子だけが半透膜を通り抜けて左側へと移動します。
・この原理を利用して純水を作り出すのが逆浸透膜浄水器(RO)浄水器です。
「逆浸透」で水だけを取り出す
浸透現象を逆に利用し、原水(不純水)に圧力をかけて、水だけを取り出すのが、逆浸透膜 浄水器です。「逆浸透現象(Reverse Osmosis)」の頭文字をとって、RO浄水器とよんでいます。
RO浄水器で使用している半透膜(RO膜)は、通常のろ過法ではろ過することができないような、 水に溶けているイオンを取り除くこともできます。
たとえば、海水には3.5%の割合で塩(塩化ナトリウム、NaCl)が溶け込んで、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)という形でイオン化しています。一般的なろ過方法ではこの塩分を除去することはできません。しかしRO膜は水に含まれるイオンを除去することができるため、海水をRO膜に通すと、塩分が除去されて真水になります。これが海水の淡水化です。
このようにRO膜による浄水では、水中に含まれているイオン、金属、硝酸態および亜硝酸態窒素、 ウィルスなど、通常の浄水器では除去がむずかしい物質のほとんどを取り除くことができます。
・もともと、逆浸透膜浄水器は、1950年代にアメリカで海水を淡水化させる研究として始められ、1960年代から70年代にかけて、研究と開発が進みました。日本でも1970年代にはプラントが建設され実用化が始まりました。この逆浸透膜を使用して浄水するしくみを「RO膜浄水システム」と呼んでいます。