浄水シャワーにはどんな効果があるのでしょうか。
アトピー性皮膚炎に対する浄水シャワーの効果に関して、いくつかの研究結果があります。
九州大学大学院医学研究院・皮膚科学分野 占部和敬助教授
アトピー性皮膚炎における浄水シャワーの効果
シャワー浴に使用する水道水の残留塩素が、アトピー性皮膚炎の憎悪に関与しているのかどうかを検討するために、「残留塩素を減らすことができる浄水シャワーヘッド」と、一方「その機能がないダミーシャワーヘッド」の2種類をアトピー性皮膚炎患者に3週間使用してもらい、症状が改善するかどうかを二重盲検法にて検討した。
(浄水シャワーヘッド使用群が14例、ダミーのシャワーヘッド群が10例)
その結果、浄水シャワーヘッド使用例では、使用前後において、かゆみおよびTARC値に関して統計的に有為な減少が観察された。
一方、ダミーシャワーヘッド使用対象群では、そうした減少は見られなかった。
これらにより、浄水シャワーヘッド使用は、アトピー性皮膚炎の症状の一部を改善させることが示され、水道中の残留塩素がアトピー性皮膚炎の憎悪因子のひとつとなっていることが推察された。
(占部和敬ほか 第35回日本皮膚アレルギー学会総会 7.17.2005)
セキひふ科クリニック 関 太輔 院長(富山市)
これまでの基礎的なデータがないので、残留塩素を含む何種類かの温水を用意して、肌への影響について試験をしたところ、確かに残留塩素の濃度が高い温水ほど、肌の保水力や保湿機能が落ちることがわかりました。
さらに、アトピー性皮膚炎の患者さん10人に浄水器の水を使って入浴を1年間続けてもらって、症状の観察を続けた結果、6人はある程度の改善が見られましたが、3人には効果が認められませんでした。
こうした結果を見ても、かならずしも残留塩素のみの結果とは言えませんが、悪化要因は遠ざけたほうがよいことは事実のようです。アトピー性皮膚炎の誘発や悪化因子は多数ありますが、そのなかで残留塩素が強く関与している症例では効果があったと思われます。
【アメリカ研究皮膚科学会発表】
Seki T. & Morohashi M. : Free residual chlorine in bathing water decreased stratum cormeum Water-holding capacity of atopic skin.